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望雲録

のぼってゆく坂の上の青い天にもし一朶の白い雲が輝いているとすれば、それのみをみつめて坂をのぼってゆくであろう。

カテゴリー「経済」の記事一覧

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フジヤマの身売り(1)

DSCF5562.JPG 日本人が欧米で最も頻繁に目にする日本ブランドと言えば、おそらくソニーの名を挙げる人が多いのではないか。実際の数字を見てみれば東芝や松下、CANONなども負けてはいないのだろうとは思うが、ブランドとしての露出度ということで言うと「SONY」がもっとも目につくように思われる。特にドイツでは自国の自動車産業がまだまだ強力なこともあり、日本車の浸透具合がいま一つなこともあって、SONYの存在感はやはり大きい。ブランド力とは不思議なもので、日本ではあまりかんばしい噂を聞かない同社のノートパソコンも、こちらの電機屋では店員が高品質の製品として薦めてくることが多いと聞く。

DSCF7952.JPG 統一後のベルリンの中心部にはそんなソニーの知名度を支える巨大建造物がそびえ立っている。ビル群を覆うように据えられた傘状の屋根はまさしくフジヤマであり、今や現代ベルリンを象徴する建造物の一つとなっている。
 ソニー・センター・アム・ポツダーマープラッツ(Sony center am Potsdamer Platz)と呼ばれるこのポスト・モダン建築の開発は、東西ベルリン統一直後の1991年6月、ソニーがベルリン市より広場の一角を買収したところから始まる。三菱地所のNYロックフェラーセンター買収に象徴されるように、バブル時代後期にはジャパン・マネーによる海外不動産の買収が大いに話題となっていた。1991年の時点ではまだバブル崩壊が明示的になっていたわけではないので、ソニーの当時の動きもこの文脈の中で捉えられるかもしれない。

 ちなみにこちらの報道ではソニーは「Japanischer Konzern」と称せられることが多い。何より電機屋としてのイメージが強いソニーが「コンツェルン」と呼ばれるのはいささか違和感があるが、この企業の事業範囲の広さを客観的に考えてみれば納得させられる部分もある。

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Schwarzfahren

 ベルリンの交通はよく整備されていて外国人でも利用しやすい。バス停は標識がよく目立つのですぐに場所が分かるし、地下鉄では列車到着までの時間が電光掲示板で表示され気が利いている。

 ベルリン市内の交通はBerliner Verkehrsbetriebe (BVG、ベルリン交通公社)というベルリン市100%出資機関によってバス、U-Bahn(地下鉄)、S-Bahn(近郊鉄道)、Tram(市電)などが統一的に運用されている。 そのため市内の運賃体系には交通手段の区別がない。市の中心から外縁に向けて同心円を描くように、ABC3つのゾーンが設けられていて、Aゾーン内の移動の場合、ABゾーン内の移動の場合、ABCゾーン内の移動の場合のそれぞれに応じ、料金が設定されている。
 たとえばAゾーン内の切符を購入すれば、この域内の移動に関しては、どの駅(またはバス停)で降りても、途中どの交通手段を使用しても、料金は変わらないという仕組みである。通常の観光なら大抵はAゾーン切符で事足りる。

DSCF5903.jpg 日本人にとって驚きなのは駅に改札が存在しないことである。各人が駅やバス内に設置されている券売機(左)で購入した切符を、同じく駅やバス内に設置されている自動刻印機(Entwerter、右下)に自発的に差し込むことで時間が刻印され、その時間から数えて有効期間内(普通の切符は2時間。一日乗車券などもある。)は自由に電車DSCF5901.jpgに乗降できるという仕組みである。このシステムはベルリンだけでなく全ドイツ共通であるらしい。

 乗客の統制は入口出口で一律に行うのではなく、主に車掌による乗車券確認の強化と摘発時の罰金高額化を通じて行うという発想のようで、ゾーン外切符での乗車、切符の刻印忘れは即不正乗車とみなされるらしく、このあたりの措置は厳格である。

 とはいえ、市内でそれほど頻繁に車掌が回ってくるわけではない(私は一度も遭遇していない)。実際、知人が無賃乗車をするのを見聞きすることもしばしばである。ドイツでは無賃乗車のことをSchwarzfahren(闇乗車)といい、BVGも含め、わざわざ禁止を呼び掛ける広告を打つ会社
も多いようだ。実際にSchwarzfahrenが横行している証左だろう。

mvg-sf_okt06_01.jpg
(左はMünchner VerkehrsGesellschaft(MVG、ミュンヘン交通公社)のシリーズ広告の一つ。「闇乗車?結構です!」とのタイトルが見える。)


 個人的には日本の自動改札機システムの方が統制面でもコスト面でも合理的に思えるのだが、ドイツでこのシステムがとられていることには意外と大きな文化的、あるいは社会経済的背景があるのかもしれない。もう少し掘り下げて調べる価値があるのではと思っている。


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三度の飯より政治談議が好きな30間近の不平分子。播州の片田舎出身。司馬遼太郎の熱狂的愛読者で歴史好き。ドイツ滞在経験があり、大のビール党。
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