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望雲録

のぼってゆく坂の上の青い天にもし一朶の白い雲が輝いているとすれば、それのみをみつめて坂をのぼってゆくであろう。

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仕事中毒者の独白


 最近ブログの更新が滞っているのは、端的に忙しいからである。

 ひと月前は毎日時間が余りすぎて定時に退社するような生活だったのが、今はある国際的な一大事件に関する仕事に巻き込まれて、文字通り目が回るような忙しさの中で日々を送っている。

 肉体的に全くつらくないかと言えば、嘘になる。平均の睡眠時間が4時間ほどで土日がないという生活は、やはり疲れる。

 ただ、社会人になってからというもの、まともな仕事や職場環境に恵まれず、鬱々としながら日々を過ごした時期が長く続いた身としては、現在の状況は腹の底からこみあげるような興奮に満ちている。そういう己を支える感情の高ぶりがあれば、不思議と少々睡眠時間が不足したところで仕事や頭の回転の効率が落ちるということはないようである。むしろそうした「激務」と呼ばれる仕事に携わり、それを取り進め、それに伴って自分の社会と組織と人間に対する知識と感性が磨き深められていく過程は、代えがたい喜びに満ちている。

 一言でいえば、非常に充実しているのである。

 違和感を覚える人はいくらでもいよう。人には、色々な型がある。

 個人として自由に与えられた時間を自分で管理し、あるいは消費することの方が、より充実した生の感覚を得られるといのが、現代日本では普通の感覚に近いだろう。だから「人間とは働くために生まれた生き物である」などと、大上段から一般論をぶつつもりはない。

 しかし確実に言えるのは、「自分は」働くために生まれた人間であり、そうした型の人種に属しているということである。善悪是非の問題ではなく、恐らく客観的な事実として、そうであると思う。

 他人との繋がり、交流、摩擦の中で、人間を知り、自分を知り、社会を知る。厳しい環境、所与のしがらみに縛られた状況の中で、いかに自己を意味ある主体として、世界に対し顕現させていくかという高揚感。そうした過程を通じて自分の世界と人間への認識を深めるのに資する経験が積み重なっていくという知的喜び。
 これは公共心とか利他心とか言った善美的な感情とは恐らく別の、もっと動物的で原生的な部分から発生しているようにも思われる。

 そうした中でかろうじて絞り出した一滴の私的時間は、この上もない貴重さに満たされていて、氾濫する自由時間の洪水の中を生きるよりも、遥かに密度が濃く、美しい。

 自分は本質的に「ワーカホリック」と呼ばれる人種に属しているのであろう。そのことを再発見できただけでも、今回のプロジェクトへの参加は、すでに自分に大きな糧を与えてくれた。

 自分で働きかけた要素も大きい。とはいえ、ここ数年の人生の中で、久方ぶりに運命に感謝したくなる瞬間を、享受している今日この頃である。
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無題

どんな事件かは知らないですが、心からやりがいのあると思える仕事に出会えるのは幸せなことだと思います。
小生の仕事(?)の場合、自分で課題を見つけてタイムマネジメントをしないといけません。特に授業とかないとそうなります。「自由」なのは確かなのですが、小生の場合は「あれもやらなきゃこれもやらなきゃ」と何でも手を出してしまい、結局睡眠時間を削って土日もなくものを書いたり読んだりという感じです。「仕事とプライベートの境目なし」という生活、あるいは「仕事の生活化」とでもいうのでしょうか。あ、でもきちんと現実的な課題設定をこなしてその課題を効率的に進めることで、仕事で結果を出しつつ「遊び」の時間をも確保できている人もいるので、やはり人それぞれなのでしょう。

>無題

自分にとっては多分、大前提として仕事という営みを通じて外部世界から新しい刺激を受け続けることが大事なんですな。正直今やってる具体的な仕事内容が客観的に見て楽しいか、やりがいがあるかと言うとそうではないと思います。

いずれにせよ私の仕事生活は外部環境に依存しているわけで、貴君のように完全に自分の時間をコントロールしながらも堕落することなくきちんと成果を上げられる人間というのは素晴らしいと思います。私には絶対真似できない、ということをこの年になって初めて自覚しました。

まあ「人生いろいろ!」ですから、仕事100%だろうが私生活100%だろうが、充実してればいいんじゃないでしょうか。「わーくらいふばらんす」とか「ぷらいべーとをたいせつに」という言辞は昨今の流行ですが、私はそれこそ価値観の押しつけとと思う瞬間が多いです。私の場合は仕事という軸が90%くらいで回転してる時が一番、プライベートも充実してるように思えます。その「自分なりに割合」を見つけていくのが一番重要なんでしょう。

ドイツにいるときはあんなにつらかったドイツ語が、このバランスの中でやってると妙に楽しくて覚えがいいのが不思議です(笑)。

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HN:
Ein Japaner
性別:
男性
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趣味:
読書、旅行
自己紹介:
三度の飯より政治談議が好きな30間近の不平分子。播州の片田舎出身。司馬遼太郎の熱狂的愛読者で歴史好き。ドイツ滞在経験があり、大のビール党。
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[02/16 einjapaner]
[02/09 支那通見習]
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