のぼってゆく坂の上の青い天にもし一朶の白い雲が輝いているとすれば、それのみをみつめて坂をのぼってゆくであろう。
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「21世紀にもソニーは私たちの文化的な生活に影響を与える革新的な製品とコンテンツを提供していきます。私はソニー・センターの落成を祝うことができ、またこの建物のデザインがソニーの理念を体現していることを、心よりうれしく思っています。」
先の式典で大賀会長が述べたとおり、ソニー・センターの奇抜な外観はいかにもデザイン重視のソニー製品にマッチしており、同社のブランド・イメージにうまく合致しているように思われる。またソニー・センターにはベルリン映画博物館が入居し、またベルリン国際映画祭の会場としても使用されるなど、映画とのつながりも深い。この面でも映画も含めコンテンツ面でも積極的な展開を探ってきた近年のソニー路線を体現しているようでもある。(右は『スパイダーマン』公開に際しての同センターでのイベント)
SONYの持つ良い意味での軽み、スタイリッシュさは世界のどこに出しても決して恥ずかしいものではない。そうした世界に通用する企業ブランドを象徴する建物がベルリンの中心部に堂々とそびえていることは、こちらに住む日本人としてはやはりなんとなく誇らしいものである。
そのソニー・センターが売却されるという。いや、現実には買い手がつかずに売却案が立ち往生している。
昨年10月、ポツダム広場のソニー・センター、及び南に面するダイムラー・クライスラー・シティーの一群の不動産が、それぞれの所有元企業から売却に出された旨が報じられた。詳細な理由は明らかではないが、高額なオフィス賃貸料が再開発の進むベルリンの中でネックとなり、入居者を確保できなかったことが大きな理由とされる。特にソニーの場合、最大の入居者であるドイツ鉄道(Deutsche Bahn)が、新設されたベルリン中央駅近辺のオフィスに移転することが決まったことが大きなダメージになったと言われる
ダイムラー側は12月に売却先が決定したが、ソニー・センターは今年1月時点で8億ユーロでの売却が成功しなかったという。ソニーは一端売却提案を引きあげた形となっており、今後の動向は不透明だが、おそらくさらに額を切り下げた形での売却を余儀なくされると見られる。
売却成立後には「ソニー・センター」の名称が変更される可能性が否定できない。現実は甘くはない、と言えばそれだけの話である。バブル時代の思慮を欠いた資産戦略のツケだ、という言い方もできるのだろう。しかし「この広場を世界の交差点にしよう」という統一ベルリンの夢に参加した日本企業の若々しい意気込みが、名前とともに消えさってしまうように感じられるのは、やはりさみしい。(左は同センター一角のソニー欧州本社。)
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