のぼってゆく坂の上の青い天にもし一朶の白い雲が輝いているとすれば、それのみをみつめて坂をのぼってゆくであろう。
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映画『グッバイ・レーニン!』は日本でも比較的よく知られたドイツ映画であり、ご存じの方も多いはずである。旧東ベルリンの一青年の母親への愛情を、今はなき東ドイツへの郷愁と巧みに重ね合わせ、重い社会テーマを軽いテンポで描ききった名作であり、2003年のベルリン国際映画祭で最優秀ヨーロッパ映画賞を受賞した。
舞台は壁崩壊直前の東ベルリン。主人公アレックス青年の母親は民主化デモに参加し逮捕される息子の姿を見たショックで昏睡状態に陥る。熱心な社会主義者であった彼女が数ヶ月後に目を覚ました時、すでに壁は崩壊し、東ベルリンには大量の西側資本が流れ込んできていた。強烈なショックを与えると命を落とす危険があると診断された母親を守るため、アレックス青年は今なお東ドイツが平穏に存続しているよう、日用品からテレビのニュース番組まで生活のあらゆる面を偽装していく。その過程で彼や彼を取り巻く人々の東ドイツへの郷愁がさりげなく描かれていく。ざっくりと言えばこのようなストーリーである。
ドイツではこうした東ドイツへの郷愁はOstalgie(オスタルギー)と呼ばれる。Ost(オスト、東)と Nostalgie(ノスタルギー、郷愁)を組み合わせた造語である。現在でもオスタルギーを主題にした小説や映画は数多く存在するが、多くの場合、主人公は統一後に社会的地位を失った旧東ドイツ出身者であり、コミカルなタッチでその統一ドイツでの哀愁に満ちた人生が描かれるというパターンが多いようである。こうした作品の中で良く使用される東ドイツの象徴としては、有名なベルリンのテレビ塔(Fernsehturm、左)や旧東ドイツの国民車トラビー(Trabi, 右)などがあげられる。
ちなみに東ドイツの略称はDDR(Deutsche Demokratische Republik, ドイツ民主共和国)という。現在でも「DDR」と大きく文字の打ったTシャツなどがベルリンの土産物屋におかれているが、これらはいわばオスタルギー・グッズということになる。
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