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望雲録

のぼってゆく坂の上の青い天にもし一朶の白い雲が輝いているとすれば、それのみをみつめて坂をのぼってゆくであろう。

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三色旗の物語(1)

 DSCF8858.JPG数日前からドイツ国旗をよく見かける。7日にサッカーの欧州選手権が開幕して、ドイツチームの応援ムードが高まっているためである。町の通りや商店、駅などはもちろんだが、自動車の側部や自転車の荷台にまで小さな三色旗を取り付けて走らせている姿もあちこちで目にすることができる。


 昔ニューヨークに旅行に行った時に街のあちこちで星条旗がはためいていたことを思い出す。9.11テロの余韻がまだ残っていた頃だったが、星条旗は単なる装飾としてもニューヨークの雰囲気によく溶け込んでいて違和感がなかった。同時に、日の丸ではこうはいかないだろうなあ、と思った。白地に赤というあまりにシンプルなデザインは視覚的に鮮烈すぎるだろうし、何より日本人は国旗を気楽に身辺に配するという感覚に乏しい。右派にとっては神国の象徴、左派にとってはあしき軍国主義のシンボルであり、政治色が強すぎて日常生活には馴染みにくい。この点ドイツ国旗は国民との距離感が少し日本とは異なるように見える。

 日本でもおなじみのドイツの三色旗は上から黒、赤、金の三本のラインで構成されている。初めてこの三色がドイツのシンボルとして使用されたのは19世紀初めのナポレオンに対する解放戦争の際であったという。「暗黒の隷属から血の戦いを経て黄金に輝く自由を」という意味が込められたという。神聖ローマ帝国の紋章も同様の色を用いていたことから、この三色旗は同時に「ドイツ統一」の意味も込められることになっっていった。

80b470d0.jpeg その後この旗は1848年のドイツ革命に際しドイツ国民の連帯を求める市民達に自由と統一の象徴として用いられ()、フランクフルト国民会議において統一ドイツの象徴として正式に認められることになった。
 しかしこのことは逆にこの三色旗の前途を困難なものとすることになる。立ちはだかったのは鉄血宰相ビスマルク、そして彼によるプロイセン王国主導のドイツ統一であった。
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読書、旅行
自己紹介:
三度の飯より政治談議が好きな30間近の不平分子。播州の片田舎出身。司馬遼太郎の熱狂的愛読者で歴史好き。ドイツ滞在経験があり、大のビール党。
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