のぼってゆく坂の上の青い天にもし一朶の白い雲が輝いているとすれば、それのみをみつめて坂をのぼってゆくであろう。
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今月1日に福田総理がドイツを訪問した。イタリアのローマで開催されるFAO(国連食糧農業機関)ハイレベル会合を軸とした欧州歴訪の一環で、わずか半日という短い滞在日程であり、また7月に迫った北海道洞爺湖サミットの前の顔合わせという性格が強かったせいもあって、ドイツの新聞ではほとんど取り上げられることはなかったようである。予測の範囲内であったが、当地在住の日本人としてはやはり少しさみしい。
すべてのメディアに目を通しているわけではないので、あくまで印象論にすぎないのだが、ドイツの新聞やラジオ・テレビ媒体の日本への関心は総じて低い。中国はもちろん、アフリカや中東諸国と比較してもJapanやTokioの文字が紙面に躍る機会は少ない。去年私が読んでいた新聞はWelt Kompaktといってドイツでは珍しい全国紙だが、日本の話題が一面に来たのは昨年11月の京大の山中教授によるiPS細胞の発見とザトウクジラを対象とする商業捕鯨実施の話題だけだったと思う。
iPS細胞はともかく、クジラの話題がトップに来てしまう。それほどこちらのマスコミは捕鯨問題に敏感である。それと並んで非難の対象になるのが死刑制度である。「日本の法務大臣死刑の自動執行を提言」(例の鳩山法相の発言である)という記事が出て、福田内閣成立がそのサブ記事として紹介されていたのにはさすがに唖然とさせられた記憶がある。
ちなみにテロ特措法失効に伴う海自の一時撤収(昨年11月)や、宇宙基本法の成立(今年5月)など、軍事的色彩の濃い話題は割と注目されている。
安易な言い方をすれば人権と動物擁護と軍事に人一倍敏感なドイツ人の価値観がそのまま反映されているわけである。ドイツ人の関心事項しか話題にならないのは日独関係が成熟していて大きな政治問題が存在しないからで、それ自体は歓迎すべきことなのだろう。しかし実際にメディアに流れる日本のニュースは負のイメージをまとったものが多く、一般のドイツ人の日本イメージが悪化しはすまいかと多少心配になる。
腐っても世界第二位の経済大国で、アメリカを除いて唯一自分たちの右に立っている国なのだから、もう少し日本の政治経済社会を学ぶという積極的な関心を持ってもいいのではと思うのだが、残念ながらそうした意味での日本の存在感は極めて薄い。唯一の例外はアニメとマンガで、これだけはやはり群を抜いて強力な存在感があるが、全体としてはドイツメディアの日本への関心は低い。恐らく英米のメディアと比べても日本に対する注目度は一段も二段も劣っているのではないかと思う。
日本人はなんとなく同じ「黒い過去」を共有する仲間として、とかくモデルとしてのドイツを語り日独を比較しがちな傾向がある。郵政民営化、介護保険などドイツをモデルに研究された政策も少なくない。しかしドイツの側では自国の戦後の歩みや政策を日本と比較しようという発想自体が乏しい。明治以来、日独関係は常に日本の片思いなのかもしれない。
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