先月の話だが、ポルシェ(Porsch)社のフォルクスワーゲン(Volkswagen,VW)社買収に関し欧州司法裁判所が下した判決が当地の紙面を賑わせた。日本でもそれなりに報道されたようなのでご存じの方も多いかもしれない。
フォルクスワーゲン(Volkswagen)社は言うまでもなくドイツを代表する自動車会社で、直訳すると「国民車」となる。ナチス時代に国策会社として創立された歴史から伝統的に政府との関係が深く、現在でも海外企業による買収を阻止することを一つの目的とする「フォルクスワーゲン法」という法律が残存している。同社の本拠地(ヴォルフスブルク、Wolfsburg)が位置するニーダーザクセン(Niedersachsedn)州が株式の約20%を保有しており、前述の法律により吸収合等に関しては同州が事実上拒否権を発動できることになっている。
フォルクスワーゲンはここ数年、フェルディナント・ピエヒ(Ferdinand Karl Piëch)会長の下で推進されたいわゆる「高級車路線」の失敗により、業績が大幅に落ち
込んでいた。そこで敵対的な買収を未然に防ぎ、経営を立て直すことを目的として同社と歴史的につながりの深いポルシェ社が株を買い集め、今年の3月には株式30%を保有する筆頭株主に踊り出たわけである。ちなみにピエヒはポルシェの創業者フェルディナント・ポルシェ(Ferdinand Porsche)の孫に当たり、自身がポルシェの大株主でもある。(右はポルシェ、VW両社のロゴ。Welt-online HPより。) PR
COMMENT