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望雲録

のぼってゆく坂の上の青い天にもし一朶の白い雲が輝いているとすれば、それのみをみつめて坂をのぼってゆくであろう。

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連立と解散権と安定政権(1)

 少し前の話になるが、昨年福田内閣が発足した直後に起こった「大連立騒動」には、日本を離れている身としても非常に興味をそそられた。大きく眺めてみれば問題の根底にあるのは二大政党制か多党制か、小選挙区制か中選挙区制かという政党システムの問題ではなく、参議院の立法機関としての位置づけの不透明さという、自民党支配の下で覆い隠されていた戦後憲法の構造的欠陥が噴出したもの、というのが個人的な所見である。その意味でドイツの連邦議会(Bundestag)における「大連立(die grosse Koalition)」は比較対象として適切ではない。二院制の意義が全く違うドイツでは、そもそも連邦参議院(Bundesrat)は民選ではないし、「ねじれ現象」も存在しないのである。
 だが日本においてもドイツにおいても、大連立という特殊な政治現象は議会政治や議院内閣制について考える上で様々な興味深い論点を提示してくれる。

 今回の「大連立構想」は、結局民主党幹部の反対により失敗に終わったわけだが、当初からあまりにも政治的動機が前面に出ている話だったため、仮に成立していたとしても長続きはしなかっただろう。むしろ小沢党首の狙いは大連立を構築することでいったん自民・民主党議員を総与党化することを通じ、政治対立の軸を「政権交代」から「政策選択」に移すことにあったと思う。

 与党となった民主党にとっては「政府提出法案には何でも反対する」という選択肢は消失する。一方議会における自民党・民主党の過剰議席は自然と個々の議員に対する党議拘束の重みを失わせ、もともとイデオロギー的に一枚岩でない両党の内部における党の敷居を超えた離合集散の可能性を飛躍的に高める。
 小沢党首が「党内合意を取り付けずに」福田総理に呑ませた自衛隊海外派遣法案などは、こうした亀裂を生みだすのに格好の素材なのである。そうでなくても政権に参画し大臣のポストを確保しさえすれば、イデオロギー対立を惹起するような大きな政策課題を好きな時に提示し、閣議決定を迫ることができる。それを契機に閣内不一致、解散総選挙に持ち込み、政策対立を軸にした選挙戦を実施することで、政策志向に基づいた二大政党制を実現する―。恐らくこの「壊し屋」にはそこまでの読みがあったのではないか、と思っている。
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自己紹介:
三度の飯より政治談議が好きな30間近の不平分子。播州の片田舎出身。司馬遼太郎の熱狂的愛読者で歴史好き。ドイツ滞在経験があり、大のビール党。
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