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望雲録

のぼってゆく坂の上の青い天にもし一朶の白い雲が輝いているとすれば、それのみをみつめて坂をのぼってゆくであろう。

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ベルリンと米国~Bei Gelegenheit von Obamas Berliner Rede(1)

 ドイツという国は20世紀史に強く規定された国のように思う。ドイツという国の成り立ち、とりわけその政治を理解するには、何より現在のドイツ連邦共和国が自国の現代史を通じてうず高く積み上がった数々の教訓と反省の上に成り立っていることを理解する必要がある。
 そして同時にドイツという国の現代史はそのまま激動の現代世界史である。ヨーロッパ大陸の真ん中に位置する新興軍事国家がうねりを立てて他国を渦中に巻き込み、秩序の破壊と創造のあくなき連鎖を繰り返したのが20世紀史であり、そのうねりはヨーロッパ大陸のみならず広く世界全体を揺さぶるものであった。そしてその渦の中心に一貫して座し続けたのがベルリンという街であり、大西洋を越えてその深奥にまで引きずり込まれたのがアメリカという大国であった。誤解を恐れずに言えば、アメリカが現在超大国として世界にコミットし君臨するに至る経緯において、ベルリンは非常に重要な役割を果たしたわけである。

 言わずと知れたバラク・オバマ米大統領民主党候補が、今次の欧州訪問に際し数ある選択肢の中からベルリンをその演説地として選んだのは、恐らく米独関係の重要性というよりは、ベルリンという街の持つ「現代の神話」的な象徴性、そして何よりアメリカとの深い因縁を重視したからだと思う。

 自分は今所用で英国に滞在しているため、残念ながら生で現地の雰囲気を味わうことができなかったが、こちらの新聞でもオバマ演説は新聞の一面トップを飾っていた。ドイツのインターネットサイトをチェックしてみてもオバマ氏の行動が刻一刻と詳細にアップされていて、ドイツ・メディアの関心の高さを大いに感じさせるものがあった。
Brandenburger_Tor_DRI_filtered.jpg
 オバマ氏の訪独、そしてベルリンで演説を行うことが明らかになってから、その場所を巡ってベルリンではちょっとした騒ぎになった。当初オバマ陣営がベルリンと東西ドイツ統一の象徴であるブランデンブルク門()の前での演説をオファーしたのに対し、まだ一候補の身分にすぎない人物をかような高度の象徴性を持つ場所で演説させてよいものかどうかが、首相や外相、ベルリン市長など多くの有力政治家の間で党派性をはらんだ議論に発展した。

2481239333-obama-draengt-iran-einlenken-atomstreit.jpg 最終的にはメルケル首相が慎重な態度を崩さず、独外務省、首相府、オバマ陣営の協議の結果、ブランデンブルク門の西2キロほどに位置するSiegessäule(ジーゲス・ゾイレ、戦勝記念塔)前で行われることで決着した。ドイツ統一につながる普墺戦争や普仏戦争などでのプロイセンの勝利を記念するため建てられた塔である。
 一般にアメリカ政治の動向にドイツは敏感だと思うが、それにしても今次訪問をドイツ側がいかに重要な政治案件と捉えているかを感じさせる出来事だった。
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Ein Japaner
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趣味:
読書、旅行
自己紹介:
三度の飯より政治談議が好きな30間近の不平分子。播州の片田舎出身。司馬遼太郎の熱狂的愛読者で歴史好き。ドイツ滞在経験があり、大のビール党。
[12/16 abuja]
[02/16 einjapaner]
[02/09 支那通見習]
[10/30 支那通見習]
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